お城通信第15号 |   創立7周年記念研究報告会:小田原城天守の構造を考える

【お城通信vol.15】創立7周年記念研究報告会:小田原城天守の構造を考える

小田原城天守模型調査の中間報告

辻村農園・山林代表 辻村百樹 みんなでお城をつくる会理事

当家の所有山林は元々小田原藩有林であり、現在も江戸時代に植林された樹齢200年~300年の大杉が100本程現存しています。お城は殿様が、自藩の為・領民の為・そして自らの為に築城したものですから、現代においても、その中心の天守は、小田原市民が主役の立場で、地元の英知と資材を総動員して創るのが筋ではないでしょうか。乱暴に言えば、国の指針や観光対応というものは、あくまで従の関係だと、私は考えます。 日本は古来、石を土台に木と紙で建築物を作って来た国。燃えるけれどもそれで一旦無に戻り、残った土台の上に再建を繰り返して来ました。そうして経済が廻って来たのだと思います。その循環は経済だけでは無く、森林再生、職人技の伝承、技術の進化をもたらしました。また、木にも伐り時、使い時があります。充実期を逃さずに使えば数百年単位の寿命を持つ建築が可能です。そこに令和の時代の技術が融合すれば、未来へと伝承する新たな伝説の誕生です。天守の森と呼ばれる当家の山に入り、一緒に「どの木でお城を創ろうか」と選木するのが地元の醍醐味ではないでしょうか。

白根工務店代表 白根伸浩 伝統木構造の会理事

白根棟梁は熊谷で14代続く大工の家柄です。現在の棟梁は伝統木構造を基本にした住宅建築がメインですが時には社寺も手掛けます。講演では今まで手掛けてきた建築の事例を紹介しながら、山を見て木を見て建築する、木組みの面白さを伝えてくださいました。白根棟梁の建築は伝統木構造を手掛ける大工でも、どう組んだら出来るのか簡単には理解できないほどユニークなものばかりです。今回の宮本氏の発表にもあるように小田原城天守は他の城と違うユニークな構造部分もあるとの話でしたが、いつの時代にも白根棟梁のような人がいて、伝統を踏まえながら新しい革新的な工法を生み出す人が出てくるのだろうと思いました。小田原城天守が木造で復元されるときにはなくてはならない棟梁だと思います。

事務所移転のお知らせ

2020年4月より、事務所移転いたします。移転に伴い、電話番号は廃止となりますのでご連絡については、メールまたは、FAXにてお願いいたします。メールアドレスとFAX番号の変更はございません。今後とも、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
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