お城通信第30号 | 市からNPOへの調査研究委託が予算化されました
【お城通信vol.30】市からNPOへの調査研究委託が予算化されました

小田原市からNPOみんなでお城をつくる会に対して木造化可能性探究のための調査研究の委託費用が、2024年3月の市議会において承認されました。これは、小田原市が当会に公式に調査研究を委託したことを意味します。
当会は、これまでは主に当会の会費収入から調査研究室のすべての費用を捻出しておりましたが、市から当会へ相当額の委託費が拠出されることで、調査研究を今まで以上に幅広く進めていけるでしょう。
これまで調査した東大模型、大久保神社模型や引図から導き出された新たな知見として、木造の構造が「互入式通柱構法」と呼ばれる特徴を有することや引図が設計図ではなく実測図であることが学会で認められ、木造化における論拠があぶり出されました。そして、本年度は、いよいよ東博模型の調査を行いたいと思います。現存3基の模型から得られる研究成果が揃うと、江戸時代の天守の実像を確信を持って描くことができると期待されます。
様々な課題も俯瞰していきましょう
・天守の土台となる石垣も天守建設前に積み直して、安全性も確保しなければなりません。市としては、天守台に限らずすべての石垣の現状調査を行って、充実した整備管理を行うための「石垣カルテ」の完備を文化庁の指導の下で行います。
・現在の天守内の展示品も移設管理する必要もあり、その他の施設に保管されている数多くの史料も同時に集約できる環境を設けることも必須です。
・市には関連計画として、総合計画、歴史的風致維持向上計画、森林計画、緑の基本計画、観光ビジョン、博物館整備構想など、同期をとっていくべき計画があります。それぞれの担当責任部局がうまく連携していけるよう早くからプロジェクト管理に工夫を施していくことが肝要です。
一昨年の2月から、小田原城天守等復元的整備検討会議が市の中に組織され、これまでの協議は10回を数えました。(すべての議事録は小田原市のHPに掲載されています)今後も、復元的整備のための調査研究の進捗を促すと共に、関連する多くの課題が併行して前進していくように、すべての課題を俯瞰していく役割も果たしたいと思います。