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小田原城天守事始め ~木造天守への道~
第18回 「東博模型」と「引図」からみた軸部の組み立て方について②
間遠くなってしまいましたが、前回に引き続き天守の組み立て方についてご紹介していきたいと思います。個人的には必ずしも腑に落ちる架構とは言えませんが、かなり用意周到に組んでいるなという印象で、特に3階床組は非常に興味深い架構だと思っています。
2階から3階
⑤東側の身舎柱を繋いだところで、外周部分で残った側柱などを納めます。次に3階の床組を造っていきますが、第8回で見たように、床梁が数段になっていますのでまず⑥最下段の成2.8尺の指物を納めていきます。梁間には幅を扱いた指物も入ります。
次に⑧心柱への指物や初重の敷桁、柱盤(2重目の柱用の土台)を納めていきます。桁行方向だけではなく、下図の赤丸で囲んだように梁間方向にも梁をかけます。絵として描くと、ちょっと大袈裟なくらいにかなりがっちりと組んでいるような印象を受けます。
3階床組をこのようにがっちりとした理由は、2階の平面計画によるものと考えています。前回ご紹介したように2階の身舎部分には管柱は建ちませんので、身舎部6間×4間には心柱を含めて通し柱が9本、かなりゆったりとした空間であった可能性があります。
引図の表記にはまだはっきりとその意図がわからない部分がありますが、近々再調査が行えるような環境が整ってきました。いずれ機会を改めてご紹介できればと思います。
次回は3,4階と軒桁の軸部架構をご紹介し、組み立て方についての考察を終えたいと思います。お楽しみに。
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