小田原城の天守を木造で復原することに取り組んでいます。(H)

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小田原城天守事始め ~木造天守への道~


第8回 模型と引図にみる軸部構造の特徴③

第6、7回で「通柱」にみる軸部の特徴と「入側管柱」の構造的な役割をご紹介してきました。今回は、その柱と梁や指物*(さしもの)などの横架材による「木組み」の特徴を見ていきたいと思います。

引図(「小田原城三重天守引図」)と模型の比較 ~指物による床組~

前回は引図と模型に表現された柱の位置に注目してその類似点をみましたが、今回は床組、特に3階を構成する柱と梁による「木組み」の方法をご紹介します。なかなか想像しにくいですが、4階まで延びる身舎柱は16mを超えている(!)ことを念頭においてください。

引図と「東博模型」②


上図で赤く囲った3階部分の床組ですが、模型では心柱と身舎柱を繋ぐ指物が2段になっていることがわかります。桁行方向(図面中、横の方向)と梁間方向(手前から奥に行く方向)それぞれ2段で構成されています。模型では4階も同じですが、引図は模型とやや異なります。下図で詳しくみていきましょう。

床組詳細


引図では、下段の大きな指物→束(短い柱状の材)→束同士を繋ぐ指物→上段の桁行方向の指物という順序です。模型では、下段の桁行・梁間の指物及び梁→束→上段の指物という順序です。これら2段の床組は、心柱と身舎柱ならびに身舎外周部(第6回参照)を繋いでいると考えられ、通柱が非常に長く階高も高いことや平面計画上の理由により、身舎の軸部を強固にするための手段であると著者は考えています。

次回からは、宝永度の小田原城天守と規模や建設年代が近い天守などの事例を紹介しながら、柱の位置や指物の構成などの特徴を比較していきたいと思います。お楽しみに。

*指物…柱同士を繋ぐ横架材の中でも、特に柱に指し込んだり貫通させた構造材。鉛直荷重の分担だけではなく、水平荷重(台風や地震による荷重)も柱に伝達します。

「小田原城三重天守引図」を除く図版はすべて『小田原城天守模型等調査研究報告書』より
※個々の写真・図版のSNS等への転載はご遠慮ください。


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